戦略を考えるより現場でチャレンジする人に。国家公務員を退職し、「地域創生」をミッションに起業/柚木理雄さん(会社役員/代表取締役。ライフシフト年齢33歳)

プロフィール
柚木理雄さん(ライフシフターNo.38)
・株式会社 Little Japan 代表取締役
・特定非営利活動法人 芸術家の村 理事長
・元 農林水産省

東京都在住、34歳、独身。
京都大学大学院を卒業後、2008年、24歳の時に農林水産省に入省。東日本大震災をきっかけにNPO活動を始め、2012年12月にNPO法人芸術家の村を立ち上げる。農林水産省とNPO法人理事長のパラレルキャリアを構築するも、「今、必要なのは現場での取り組みだ」と考え、33歳になる2017年1月末に農林水産省を退職。同年2月、地域資源を活かした事業創造による地域創生をミッションに株式会社Little Japanを立ち上げ、5月にはこれまでの海外経験と地域活動の経験を活かし、地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」を浅草橋にオープン。月の半分ほどは地域をめぐり、地域の担い手不足解決につながる事業の立ち上げを目指している。また、自身がパブリック、ソーシャル、ビジネスの分野で活動してきた経験を活かし、組織や場所の枠のとらわれずに、目的に対する価値提供ができるかで、組織や場所を選択できる生き方の実現を目指す。

座右の銘:夢のあるところに道は開ける

http://www.littlejapan.jp/

京都大学大学院を卒業後、2008年、24歳で農林水産省に入省しました。小学生の時にブラジルから帰国し、日本の教育に馴染めなかったことから、日本が嫌だから海外に出たいと考えていましたが、大学で海外40ヶ国以上を訪問し、フランスにも留学する中で、日本が嫌いなのであれば、自分が好きだと思える日本にしたい、と考えるようになり入省しました。農林水産省では、国際交渉、経理、金融、農地、官民ファンド、6次産業化、バイオマスなどに携わりました。

そうした中、2011年の東日本大震災をきっかけに、草の根活動の重要性を感じ、国が幸せのかたちを決めるのではなく、「様々な人がそれぞれ生きがいを感じることができる社会を作りたい」と、2012年12月にNPO法人「芸術家の村」を立ち上げました。

空き家問題の解決や様々なNPOの支援に取り組み、農林水産省での制度をつくる仕事と、NPOでの現場で価値を提供する仕事の両方を行い、農林水産省とNPOの理事長というパラレルキャリアを構築していきました。

リスクを負ってでも現場でチャレンジする人に! 農林水産省を退職し起業

当時も、安定した収入を得つつ、やりたいことにチャレンジできていたので、人とのつながりを広げながら、個人としての能力も伸ばしていけていたように思います。

農林水産省には、9年間勤めました。
その中で、何度も何度も様々な成長戦略、計画がつくられて、そして実現がされないまま、書き直されてきました。
現場での取り組みを、少しでもやってきた自分としては、その内容は、とても現実離れをした、世の中にそんな人存在しないじゃないか、と思えるような人を前提に書かれているように感じていました。

自分はこのままの立場としてもやりたいこともある。身分も安定している。しかしながら、国家公務員がたくさんいる中で、今のこの仕事は、他の方でもできる仕事なのかもしれない。
ただ、現場でリスクをとって実現する人は、圧倒的に少ないのではないか。自分で、本気でリスクをとってやったこともない自分が、口を出しているだけで良いのか、という思いが募り、チャレンジする一人になろう! と、33歳になる2017年1月末に農林水産省を退職しました。

農林水産省を退職すると両親に話したときには戸惑っているようにも見えましたが、実家の神戸に何度か帰り直接話をしたことで、最終的には一番のサポーターになってくれました。

退職の翌月には、地域資源を活かした海外向けビジネスの創造による地域創生を目指し、株式会社Little Japanを創業。2017年5月、最初の取り組みとして、これまでの海外経験と地域活動の経験を活かし、これまでもやってきた空き家を活用したコミュニティスペースづくりとして、地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」を浅草橋にオープンしました。

 

自分の判断、決断で人生をコントロールするライフスタイルとは?

ライフシフトしたことにより、生活スタイルや時間管理など、それまで様々な面である程度の拘束があったところから、全て自分の決断で、自分のスタイルでコントロールできるようになりました。

肉体面の大きな変化はありませんが、毎日の満員電車での通勤がなくなったことで体への負担も減り楽に感じました。
今は、オンラインでできる仕事も多く、スタッフと会うのは、家の目の前の事務所や自転車で15分のゲストハウスLittle Japanに行くぐらいです。

精神面を考えると、自分が必要ないと思うことは無理にやる必要がないため、「何をやっているんだろう」といった思いをもつ必要がなく、良い状態を保っています。一方で、正解のない問いに答えていかないといけない、全てを自分ひとりで決定しなければならないという、これまでとは違ったプレッシャーも感じています。

また、公務員という成果が直接は見えづらく、安定した給与をもらうサラリーマン生活から、より純粋に価値を提供したことに対して対価を得る生活に変わったため、やりがいを直接的に感じることができるのも嬉しいところです。

目指すのは組織や場所に縛られない生き方の実現

これまで、株式会社Little Japanは、「地域資源を活かした事業創造による地域創生」をミッションに、空き家を活用した場づくりとして、
・地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」
・NPO向けシェアハウス・オフィス「Social Business Lab」
・エシカルセレクトショップ「エシカルペイフォワード」
等を立ち上げ、運営してきました。

今後は、空き家ではなく、また別の資源を活かした新規事業の立ち上げを予定しており、現在、月の半分ほどは東京を離れ地域をめぐりながら、特に、地域の担い手不足解決につながる事業の準備をしています。

また、パブリック、ソーシャル、ビジネスの3つのセクターで業顧問や先生といった立場ではなく、実務をしてきた経験から、このセクター間の、必要のない隔たりによって、何か一つのことを実現することに対して、必要のない労力がかかってしまっているように感じており、より、目的を達成するために、柔軟にセクターを超えられるようなキャリアを実現したいと考えています。

また、現在、月の半分は地域をめぐりながら、これまで、ブロガーやデザイナー等の特定の専門職でなくても、場所に縛られずに仕事ができ生きることができる仕組みの構築を目指しています。この実現は、地域の担い手不足の解消にも重要であると考えています。

人生100年時代とは、同じ組織に居続ける方がリスクになるような、そんな時代

農林水産省を退職したのは、農林水産省が嫌だったからでも、必要がないと思ったからでもありません。「今は別の場所で働いた方が、自分の目指していることがより実現できる」と考えたからです。
そういう意味では、また公務員に戻ることも考えられますし、その時その時で、自分がやりたいことを実現できるようなポジションにいられたらと思っています。

人生100年時代、同じ組織に居続ける方がリスクになるような、そんな時代のように思っています。組織や場所にしばられず、社会や個人として実現したいことを実現し、個人の力もしっかりとつける、そんなライフスタイルを一緒に目指しませんか?