多様性と絆をテーマに、自分の軸を大切にした生き方をサポート/小嶋 美代子(こじま みよこ)さん《ライフシフターNo.007》

プロフィール

・株式会社アワシャーレ 代表取締役
・ライフシフト・ジャパン株式会社 取締役
・NPO法人GEWEL 副代表理事

東京都在住。49歳。「ひとりじめしないこと」をコンセプトに2017年ブログを開始。共感・賛同する声に支えられ、事業として活動することを覚悟。2017年10月に株式会社アワシャーレを設立した。ダイバーシティプロデューサーとして、講演・研修・戦略支援などを通して、多様性と絆のある環境・場・変化をつくっている。個人に対しては、ライフシフト*多様性*絆をテーマに、自分軸で生きるひとを応援しながら、自分自身の多様性を広げている。
https://ourshare.jp/hearts/appreciate/

以前は、大手IT企業で管理職(部長職)でした。在宅勤務など制度も充実していて、柔軟な働き方をしていた方だと思いますが、就業時間と場所は決まっていました。コンピュータの技術職として入社し、金融機関向けシステム開発に従事していた頃は、期限のない出張や長時間労働も当たり前でした。私が女性であることへの配慮により、過酷な労働環境に置かれることはほとんどありませんでした。休日出勤や残業は多かったのですが、日本の経済環境を支える金融システムをつくることで社会的責任を感じていたこともあり、肉体的および精神的に辛いときも時折訪れる達成感で相殺していたのです。

人材育成部門に異動してからは、女性であることが差別化になると考え、大きな仕事にも恵まれました。徐々に管理業務が増えてきたことで、自分の仕事のやり方を変え、組織全体の仕組みをつくることに関心が変わってきました。そして、働き方(業務の開始時間やフレックスの使い方など)、服装、稟議承認のプロセスなど、刷新するように問題提起と提案をするようになりました。

管理職になってからは、企業の内側から社会課題を解決するにはどうすればよいか、よく考えるようになりました。大企業だからこそ社会に影響を与えられると信じ、裁量を生かして外のつながりも増やしながら、新しいことに挑戦してきました。特にダイバーシティ推進の仕事では、いつもの職場とは異なるひととの接点を増やし、考える機会をつくることで、自分の当たり前は世の中の当たり前ではないことを認識するところから始めました。ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さんやコヂカラニッポンの川島高之さんにお会いしたのもこの頃でした。イクボスを広めるために自社で何か始めたいと思い、イベントを企画開発したり、企業同盟発足にも協力しました。

家族構成、教育、職務経験などについて、周囲の何気ない質問に傷ついたり、排他されていると感じたりしてきた自分自身の経験から、世の中には自分の理解できないこともあるのだということをもっと知ってほしいと無意識に思うようになりました。

個人としての生き方を見つめなおし、一番大切なことを大切にする

そんな中、ネパール人女性(アンジャナ)との出会いがありました。
彼女は生まれつき骨の障害があるため自由に歩くことができませんが、彼女の、ネパール障害者の自立生活と夢の実現に向けた彼女の情熱に触れ、私は本当に自分の軸で生きているだろうかと自問するようになりました。今思えば、それがライフシフトの始まりだったように思います。

それからは、企業の管理職として、またNPO法人の理事としての活動を続けながら、個人としての生き方を見つめなおし、「一番大切なことを大切にする」ことを心掛けるようになりました。

そして2017年夏、28年働いてきた企業を退職しました。退職後の生活や仕事のことは全く決めていませんでした。その理由は、次のステージで楽しんでいる自分を見つけたかったから。退職に至ったきっかけは京都在住の母が骨折して入院したことでした。母は自分の意志で人生を切り拓いてきた女性で、社会変革の志はないものの、周囲に大いなる影響を与えてきた人でした。それを改めて思い出し、自分の人生はこのままでいいのだろうか、と考えました。冒険のない人生で終わりたくないと。よくここまで既存の社会通念に合わせながらひとつの企業で定年まで働いてきた、と自分にご褒美をあげよう。これからは愛ある時間を大切にしながら自分の価値観で生きていこう。その私の方が誇らしいと考え、退職を決めたのでした。

素晴らしいコーチと出会ったことで、決断も行動もすべてゆるぎない気持ちでできました。家族は、無条件で応援してくれました。特に母から言われた言葉は強烈でした。
「あなたなら絶対になんでもできるしなんでもなれる。企業の枠におさまっているのはもったいない。世の中に滅多にいない素晴らしい存在であり、神様からの贈りもの。それをもっと世の中のために使えるから、何をするにしても応援しているし、成功することは間違いない。生活なんて、どうにでもなる。心配せずに前を向いて一緒に頑張ろう」

ライフシフトしたことで、自己管理能力も向上

その後2ヶ月間は、いろいろなひとに会って、話を聞き(または聞いてもらい)、自分の可能性を感じる機会を浴びるほどいただきました。異なる仕事、年代、国や言語まで違う人たちと話すうち、「目的やゴールがない時代に、志がなくても、できることをやっていけばよい」という考え方に至ったのです。「ひとりじめしないこと」をコンセプトに置き、ブログで情報発信を続けていたところ、賛同・共感する声も多かったため、それを基盤にした活動を広げていくことを覚悟し、法人立ち上げに至りました。事業戦略支援、ブランディング、ダイバーシティ啓発事業(講演・研修)、システム開発を事業として行っています。私一人ではとてもできませんが、同じ気持ちの仲間と一緒に技術や経験値をひとりじめしないで差し出しています。

短期学生インターン(外国人優先)の受け入れ、地方在住者による業務支援サービス、多様性体験ツアーのプロデュースなど、多様な業務を平行にこなしているため、決まった働き方ではないことが自分の性分に合っていると感じています。

ライフシフトしたことで、自己管理や節制が、自分でもこんなにできるのかと驚くくらいにうまく回っています。大企業で働いていたときには「やらされ感」があったことでも、自分の意思で決めたことは想像以上の力を発揮できるということに気づきました。また、退職後の生活変化から、3ヶ月で15kgの減量にも成功。これまで20年近く苦労してできなかったことですが、あまりにうまくいくため、自分でも驚いています。

多様性と絆をつくって社会に貢献したい

現在、Diversity & Kizunaをテーマに活動しています。社会との繋がりをなくさず、それと同時に個人の違いが共存できるような社会になるよう、多様性を感じ考える場をつくりたいと考えています。2017年の年末にはH.I.S.社と企画したダイバーシティ体験ツアーでネパールに行きます。小さいことを体験して、大きな学びと幸せを得る。そんな仕事をしていくことがこれからの目標です。

ライフシフトとは「自分の機軸に合わせて、人生を選択すること」と定義しています。
自分の機軸は自分の心の中だけでは決められません。いつもと違う場所で、いつもと違うひとと対話すれば、いつもの自分から一歩踏み出せます。その先に自分の機軸が見えてきます。勇気が必要であれば、一緒に行きましょう。楽しみは2倍に、不安は半分になるかもしれません。人生を楽しむ経験を一緒に増やしていきましょう!